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HP「北陸の私鉄」今日の壁紙


富山市 県道172号線(海岸通り)沿いの三菱ケミカルの河津桜
2025/03/29 撮影
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今日の列車(富山地方鉄道富山市内軌道線)

電鉄富山駅エスタ前駅を発車したT103大学前行き 2019/02/17 撮影
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今日のダム湖


上越市柿崎区松留にある新潟県営柿崎川ダムかがやき湖  2011/10/29 撮影
堰堤天端から左岸林道の平畑橋
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今日の植物

万葉線中伏木駅花壇のヒオウギ 2015/07/28 撮影
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県都を託す 富山市ダブル選 高山線経営形態の変更模索
人口減・コストなど課題多く
2025年4月11日  05:00
 3月27日、富山大五福キャンパスの近くにあるJR高山線西富山駅。地
元住民が見守る中、西口アクセス通路の開通式が行われ駅西側から直接ホー
ムに行けるようになった。

 もともと駅の出入り口は東側だけだった。駅西側で暮らす人が列車を利用
するためには、約270m南にある踏切を渡って東側に回らなければならな
かった。

 通路整備は富山市と県、JR西日本が2年前に策定した「高山本線ブラッ
シュアップ基本計画」の中で、利便性向上策の目玉の一つ。近くに住む中河
伸俊さん(74)は「高山線は私たちにとって大事。利用が増えて便数も増
える好循環になったら、もっと便利になる」と期待する。

 高山線は富山駅と岐阜駅を結び、県内区間の富山−猪谷駅間36.6kmを
JR西日本が運行する。富山市内の旧5市町村を貫くように南北に走るため、
公共交通を軸とした市のまちづくりを支える重要路線だ。

 市はJRと連携して2006年度から、増便したり駅を新設したりしてき
た。利便性アップが奏功し、2005年度に2440人だった1日当たりの
平均乗車人数(西富山−越中八尾駅間)は、2019年度に3206人と約
3割増えた。

 新型コロナの流行が、その流れにブレーキをかけた。外出自粛の影響など
で、2000年度の平均乗車人数は2519人に激減。ウイルスの5類移行
に伴い回復傾向にあるものの、以前の水準には程遠い。

 ブラッシュアップ基本計画は少子高齢化が進む中、コロナ禍で移動手段や
働き方が変わったことも受け、県を交えて策定された。当時を知る市幹部は
「利用減で利便性アップへの投資ができなくなり、また利用が減るという負
のスパイラルに入る前に、手を打たなければならなかった」と振り返る。

 基本計画には、経営形態を変更すべきかどうか検討することが盛り込まれ
たことから、市は独自に2024年度、財政負担を試算した。

 その結果、JRが運行を担い、自治体側が設備を維持管理する「上下分離
方式」や、JRが鉄道施設を保有したまま運行し、自治体側が維持管理費を
負担する「みなし上下分離方式」より、JRとは別の新たな交通事業者に経
営移管する方法が最も負担を抑えられるとの結論に達した。

 高山線は地元にとって生活路線に位置付けられるが、JRにとっては観光
や貨物の面での役割も大きく、手放しがたい。経営を移管させる場合、JR
西日本との協議になるが、譲渡に伴うコストなど課題は多く、先行きは不透
明。富山地方鉄道鉄道線の維持・活性化に向けた議論も始まっており、市と
しては同時並行で進める難しさもある。

 止まらぬ人口減で公共交通の利用者も減り続けているだけに、高山線の沿
線住民は「地域の足としてどのような形が最適なのか、手遅れになる前に結
論を出してほしい」と訴える。(久保智洋、野村達也)

JR高山線の車両。  経営形態の変更が検討されている=婦中鵜坂駅

記事・画像:北日本新聞から