2025/10/31(金)
8:35 更新時天気 曇り 気温 13.1℃
HP「北陸の私鉄」今日の壁紙

富山地方鉄道富山市内軌道線丸の内駅を発車した9002富山大学前行き
2025/10/12 撮影
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今日の列車 万葉線

庄川橋梁を渡る1003高岡駅行き 2024/10/31 撮影
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今日のダム湖 関西電力 小牧ダム
富山県砺波市庄川町小牧 管理所は関西電力小牧発電所
総貯水量37,957,000m
3、有効貯水量は18,858,000m
3

定期船乗船場駐車場から堰堤側 2014/05/25 撮影
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今日の植物 富山県中央植物園 2016/05/21 撮影

ボタン・シャクヤク園のボタン(牡丹)
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<地鉄の行方>(2)経営状態
赤字四半世紀「もう限界」/まちづくりの議論必要
2025年10月31日 05:00
営業損益26年連続赤字−。富山地方鉄道の鉄道線は、文字通りの不採算
事業だ。累積赤字は約60億円に上る。「一般企業の事業ならとうに撤退し
ている」。社外取締役を務める県の蔵堀祐一副知事は言い切る。
収入から経費を差し引いた営業損益は、事業単独で成り立っているかどう
かを示す。鉄道線は車社会への移行と沿線人口の減少によって1998年度
以降、ほぼ毎年1億〜2億円の赤字。2020年度以降はコロナ禍や物価高
で赤字幅が7億円程度まで一気に膨れ上がり、24年度になっても状況は変
わらない。
手を打たなかったわけではない。1998年には運賃値上げやワンマン運
行を実施。駅の無人化や中古車両購入で経費を抑え、他の事業の利益を穴埋
めに回した。一部の廃線を検討したこともあったという。
コロナ禍では人件費圧縮のため給与を抑えたが、その反動で人材流出と採
用難を招き、深刻な人手不足につながった。「もう限界だ」。地鉄の在り方
を議論する会合で、中田邦彦社長は何度も繰り返す。
県議会では、行政から年数億円の補助金を受ける地鉄に対し「経営努力が
足りない」との批判が相次ぐ。
「鉄道とバスの乗り継ぎをしやすくするなど、事業をまたいだ改善策が出
ない」と、重鎮の中川忠昭県議。会社全体では黒字だとして「さらに補助金
を出す妥当性が問われる」と主張。地鉄とは別の事業体を設け、運行を移管
させてはどうかと提案する。
地鉄が持つ不動産の活用を求める声もある。本社が入る地鉄ビルは一等地
の富山駅前に立ち、ボウリング場の富山地鉄ゴールデンボウルが隣接する。
ある関係者は「地鉄は経営努力を迫られると『経費削減の余地はない』と構
える。本社を移転して土地を民間に貸し、開発を呼び込むなど前向きな対策
への意欲が低い」と語る。
対する地鉄は、あくまで事業ごとの収支を重視する。新庄一洋専務は「公
益性と収益性のはざまで悩みながら事業を続けてきた」とした上で、こう強
調する。「黒字事業の利益を鉄道に回せば、その事業が成長する体力が奪わ
れる。『全体で黒字だから、大きい赤字の事業があってもいい』との考え方
は健全ではない」
人口が急減する中、民間企業がどこまで公共性を担うべきか。鉄道線の経
営危機はそんな問いを投げかける。県と沿線自治体は年内に、一部廃線案が
浮上した本線と立山線のほか、不二越・上滝線の支援策を打ち出す構えだが、
持続可能な経営の形はまだ見えない。
地鉄の元専務運輸事業本部長で、交通分野の経営コンサルタント業を営む
稲田祐治氏は、足元の議論が行政による経営支援にとどまっていると指摘。
「駅の配置や周辺地域の開発を一体的に考え、利用者増や活性化につなげれ
ば、収支改善は見えてくる」とアドバイスする。
鉄道線の営業距離93・2キロは、年間1億人超を運ぶ西日本鉄道(福岡
県、106・1キロ)に匹敵する。地方の民間鉄道で群を抜いて長いレール
を生かすため、地域ぐるみの議論を巻き起こせるか。沿線自治体に重い課題
が突きつけられている。(高木健成)

富山駅前にある地鉄ビル=富山市桜町1丁目

記事・画像:北日本新聞から
JR西日本の地方19路線赤字 2022〜24年度、
人口減で収益厳しく
2025年10月30日 05:00
JR西日本は10月29日、利用者が少ない地方路線の2022〜24年
度平均の収支を公表した。対象とした1km当たり1日平均乗客数(輸送密
度)が2000人未満の19路線32区間全てで赤字だった。赤字総額は2
67億円。営業費用に対する運輸収入の割合を示す収支率は13.1%だっ
た。人口減少で、収益確保が厳しい状況が浮き彫りになった。富山県内の路
線は対象外。
今回の発表では、乗客数が減少した赤穂線の播州赤穂―長船と呉線の三原
―広の2路線2区間が追加された。前回2024年に発表した2021〜2
3年度平均における2000人未満の赤字総額233億円と比べ赤字は34
億円増えた。人件費や設備修繕費の上昇も響いた。
収支率が前回と比べて悪化したのは、山陰線の城崎温泉―浜坂など4路線
8区間だった。収支率が最も低かったのは芸備線の東城―備後落合の1.0%。
2024年度の1日平均乗客数は19人で、100円稼ぐのに必要な費用は
9945円。最も高かったのは播但線の和田山―寺前の33.5%だった。
JR西日本の担当者は「大量輸送という鉄道の機能を果たすことができて
いない状況だ。持続性の高い最適な交通体系を地域の皆さまとつくりあげた
い」と述べた。
JR西日本は2022年から、過去3年度平均の地方路線の収支を公表し
ている。

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記事・画像:北日本新聞から