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HP「北陸の私鉄」今日の壁紙

射水市戸破の自宅庭の夕陽があたるイロハモミジの紅葉
2025/11/04 撮影
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今日の列車 富山地方鉄道富山市内軌道線

地鉄ビル前駅を発車した9002環状線 2019/10/23 撮影
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今日の動物

富山市いたち川のヒドリガモ 雄・雌 2023/03/27 撮影
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今日の植物

富山県中央植物園の熱帯高山植物キンレイカ 2016/05/21 撮影
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<地鉄の行方>(4)本線(下)
並行区間 在り方模索/「議論に時間が必要」
2025年11月4日 05:00
「廃線ならば、電鉄魚津駅と西魚津駅がなくなってしまう。それでよろし
いのか」。10月21日に開かれた魚津市のタウンミーティング。富山地方
鉄道との協議にどのような考え方で臨むのか、村椿晃市長に宛てた質問が読
み上げられた。
地鉄は本線について、不採算区間の滑川−宇奈月温泉駅間を廃止対象に挙
げる。沿線自治体のうち黒部市は、宇奈月温泉への誘客や市民生活に不可欠
だとして、存続を強く求めている。
一方で同じ沿線の魚津、滑川両市は、まだ態度を明らかにしていない。両
市内を走る延長8.5km、滑川−新魚津駅間はあいの風とやま鉄道との並行
区間であることが理由の一つだ。地鉄が廃線になったとしても、両市内から
鉄道がなくなるわけではない。
「よろしいとは決して思っていません」。村椿市長はタウンミーティング
でそう繰り返したが、沿線住民は不安を拭い切れずにいる。
両鉄道が並行する区間の駅数は、あいの風が3駅なのに対し、地鉄は7駅
ときめ細かい。2023年度の1日当たりの乗客数は、あいの風3駅で33
74人、地鉄7駅で565人と利用は分散し、地鉄の越中中村駅(滑川市)
はわずか4人。地鉄によると、この区間の営業収支(24年度)は約1億5
千万円の赤字だった。
沿線自治体の補助金のうち、魚津、滑川両市は2011年度以降の15年
間で、それぞれ1億円ほど負担している。設備維持をはじめとする安全運行
に対する支援などで、年平均700万円前後になる計算だ。
議会では橋の老朽化を不安視する声も上がり始めた。魚津市で地鉄が通る
全長約
1.2km の高架橋は完成から60年近く経過しており、滑川市の早
月川に架かる橋は90年を迎える。そう遠くない将来に架け替え議論が起き
てもおかしくない。
地鉄のために負担する費用が今後どうなるのか、両市は注視している。
地鉄は、車の運転免許を持たない人たちにとって大切な移動手段。例えば
魚津市内にある高校4校には、185人の生徒が地鉄に乗って市外から通う。
「高校生が多く利用し、地区住民の足でもある。公共交通の要」。魚津工
業高と新川みどり野高の最寄り駅、経田駅(魚津市)がある経田地区自治振
興協議会は、10月9日のタウンミーティングで必要性を強調。存続を求め
て県や市に要望する予定だ。
沿線4市町は現在、乗降客数や今後の収支予測などを調査しており「全線
維持」や「並行区間のみ廃止」など五つのパターンで今後の在り方を探る方
針。存続させる場合、自治体が維持管理費を負担する「みなし上下分離方式」
の導入など、国の再構築事業への適用が選択肢に上がる。
認定を受けるには、利便性向上や利用者増など官民を挙げた取り組みが求
められるだけに、水野達夫滑川市長は「並行区間をどのようにするか、議論
に時間が必要。市民に調査データを示し、対話した上で判断したい」との意
向だ。
ただ、2026年11月の廃線を視野に入れる地鉄は、存廃を判断するた
め沿線自治体に対し、年内に支援策を示すよう迫っている。期限まで、残り
2カ月。(藤木優里、椎名哲平)

あいの風とやま鉄道との並行区間を走る富山地鉄の電車(左)=魚津市内

記事・画像:北日本新聞から

あいの風とやま鉄道魚津駅から新魚津駅に到着する富山地鉄の電車

あいの風とやま鉄道滑川駅から地鉄滑川駅を発車した富山地鉄の電車