2019/01/30 更新
800形
 名古屋鉄道600V区間のイメージアップを図るため日本車輌製造にて3両が製造され2000(平成12)年7月に運行を開始した複電圧車
両。車両のスタイルは、大きな窓を採用したヨーロッパのLRVに似た外観に、バリアフリー時代に対応すべく部分低床という特殊な床構造を
した3扉車となった。
 車体中央部分が低床のため、制御装置等は屋根上、空気圧縮機はパンタグラフのある側の運転台床下に搭載している。車内もスロープ構造と
なっているため座席は集団見合形の固定クロスシートとなっている。
 主回路はVVVFインバータ制御、シングルアーム式パンタグラフ、回生ブレーキを装備。乗降扉の開閉に連動して動くステップを装備して
いる。2001(平成13)年に鉄道友の会ローレル賞を受賞している。
 福井市で2001(平成13)年10月12日から11月4日までの24日間、JR福井駅前電車通りトランジットモール実験が実施され、モ
800形802号が名古屋鉄道から福井鉄道に貸し出され、「すまいるトラム」として運転された実績がある。
 岐阜600V区間は岐阜市内沿線住民の理解が得られず全線廃線となり、福井鉄道へは以前福井市内を走った802号に加え、803号の2
両が譲渡された。名古屋鉄道工場にて改装工事を行った後、2005年9月末から10月初めにかけて770形とともに西武生(現:北府)の車両
基地に搬入された。
 800形は輸送力の小ささから北府の車庫と越前武生駅に置かれていることが多いが、日中の乗客の少ない時間帯に802号と803号が交
互に使用されていた。
 2018年で運用が終り、2019年3月に
801号を所有する、豊橋鉄道へ譲渡された。 

802   家久駅

803   ハーモニーホール駅

803   運転台                                                           
803   車内                                                     802   銘板 ロ−レル賞
     

200形
 200形は福井鉄道オリジナル車両で、1960(昭和35)と1962(昭和37)年に日本車輌で製造された。2連3編成6両が在籍してい
た。福武線の急行電車用として製造された車両で、福井鉄道で初めて平行カルダン駆動を採用し、2両3台車の連節構造が特徴である。主電動
機は両端の台車にそれぞれ2つが装備されている。
 車体はやや変則的な配置の2扉で前面は非貫通式、全体的に丸みを帯びた形状である。車内は扉間に片側3組のボックス式クロスシート

の他がロングシートである。その後クロスシートのピッチ拡大(1300mm→1450mm)冷房化改造、両端の台車交換が行われた。
 2006年4月1日の福井鉄道LRT化後も定員200名と多いことから通勤、通学時間帯を中心に運用されていた。運行回数の減少から広
告媒体としての価値が下がったため、3編成ともオリジナル塗装に戻された。201号はクリーム色を主体に腰部に青色の線を引いた旧福鉄色
に、202号は低床型車両に合わせ海の青・野山の緑・雪の白と福井の風景をイメージした新福鉄色に203号は1960(昭和35)年から導
入時の上部をクリーム色、下部を濃い青とし、腰部に白色帯のアクセントがある当時の急行塗色になっていた。
 3車体3台車の低床車F1000形の2号車F1002導入で201号が廃車解体された。4号車のF1004導入で202号も廃車解体さ
れた。なお
203号は越前市の北府駅鉄道ミュージアム整備事業(2020〜2021年度実施)において保存展示される予定となっている


201   田原町駅    2000/04/01

202   大名町交差点    1999/04/03

203   ベル前駅    1999/11/21

201   ベル前駅     2003/03/02

202   花堂駅     2003/03/02

201   上鯖江駅(現:サンドーム西)  2008/06/14

202   福井駅前     2009/10/11

203   越前武生     2010/04/04

203-2   運転台

203-2   車内

202 武生新駅  2006/10/14
     

300形
 300形は元静岡鉄道の長沼工場で1966〜1967年に製造された車両で、1000形の増備で余剰となった300形3編成6両すべて
が福井鉄道に譲渡された。客室は国鉄車両に似た雰囲気だったが、これは国鉄から払い下げられた廃車発生品を利用してセミクロスシート化し
たため。
 福井県の私鉄車両では初の冷房車で、200形に代わって急行運用に就いた。導入時はは静岡鉄道時代の銀色地に青帯という塗装だったが、
積雪期には保護色となって視認性が悪かったため、白地に緑・赤の帯が入る新塗装に塗り替えられた。各自治体の花である福井県のスイセン、
越前市のキク、鯖江市のツツジ、福井市のアジサイがドア間に描かれていた。2000年ころからは、全面広告車となる編成も登場した。
 車体の老朽化が激しかったため、岐阜市内線廃止により、名古屋鉄道から譲り受けた路面電車タイプの低床車両導入によりLRT化された
2006(平成18)年4月1日に全編成が運用から外れ、同年内に全車廃車解体された。この時80形、140形も運用から外れ、廃車解体さ
れた。


301   ベル前駅    2003/03/02

302   福井駅前駅    1999/08/28

303   田原町駅    2003/07/20

302   ベル前駅    2003/03/02

303-2   運転台

303-2   車内

303 武生新駅  2002/10/05
       

610形
 名古屋市交通局名城線の1200系の車体を利用して1999年に製作された。1998年に登場した600形と異なり、Mc+Tc編成と
したため、車体は3扉を2扉化の最小限の改造にとどまっている。室内はオールロングシートのため、600形と同様に通勤、通学時間帯の急
行に使用されていた。走行装置やパンタグラフ、冷房装置は昇圧で廃車となった豊橋鉄道1900系のものを再用している。610形は廃車と
なった300形のオリジナル塗装に変更され、通勤、通学時間帯の急行を中心とした運用に最後まで入っていた。


武生新駅(現:越前武生)    2000/07/02

武生新駅(現:越前武生)    2006/10/14

越前武生駅    2010/04/04

商工会議所前    2016/04/02
       


600形
 名古屋市交通局名城線の1000系の車体を利用して1997年と1998年に製作された。最初に作られたモハ601は1000系の制御
電動車、1111と1112の2両の車体を使って製作されている。1111の車体に1112の先頭部分を継いで両運転台化し、1112の
側窓を使って中央のドアを塞いでいる。
 室内はオールロングシートのため、通勤、通学時間帯の急行に使用された。走行装置やパンタグラフ冷房装置は昇圧で廃車となった豊橋鉄道1900系のものを再用している。1900系の台車は元国鉄101系のDT21
総括制御用のジャンパー栓が無く2連運転ができない為、
西武生の車両基地の奥に眠っていた。F1000形導入に際し、車庫スペースを確保する必要から、601は廃車となった。602は急行色に
塗装変更され冬季の居酒屋電車、夏季のビール電車に使用されている。イベント用としては現役車両。


602  武生新駅    1999/04/03

601  ハーモニーホール駅    2000/07/02

602  北府車両基地    2013/04/29

602  福井駅前交差点    2016/04/02
       

80形
 80形は1921(大正10)年製造の南海鉄道のモユニ521形で、1948(昭和23)年に4両が福井鉄道に譲渡され、単行列車として福
武線を中心に運行した。車両は片側2扉の木造車体で、譲渡時、前後の扉に福井市内の併用軌道区間での乗降用として折畳み式のステップが取
り付けられた。 
 1956(昭和31)年に
日本車輌で新製された鋼製車体に交換されている。1977(昭和52)年に片運転台化改造し2両固定編成化した。
その後も、冷房化、カルダン駆動化、尾灯交換、床面改装などが行われた。ほとんどすべての部品が置き換えられ南海時代の物は何も無い。
 2編成中、81号はオリジナル塗装で運行、82号編成は最後まで北陸コカコーラのラッピング電車として運行された。82号の福井側が赤
色のコカコーラ、武生側が青色のコーヒー飲料ジョージアだった。福井鉄道は2006(平成18)年4月1日から、LRT化されたが、遅れて
導入された880形運行開始の4月21日まで運行され、同年6月24日・25日に120形とともにさよなら運転が実施され廃車となった。 


福井駅前駅    1999/04/03

ベル前駅    1999/11/21

西武生駅    2000/07/02

足羽川幸橋仮鉄橋    2006/04/16

田原町駅  1974/06                  (富山レールクラブ大橋氏撮影)

武生新駅    2000/07/02
     

140形
 140形は長野電鉄より譲り受けたモハ300形で、1941(昭和16)年に汽車製造で新製された。1978(昭和53)年に福井鉄道が譲
り受け、1979〜1980年にかけて竣工した。入線に際して併用軌道区間走行のため前面床下に排障器を、客用扉部に乗降用折り畳みステ
ップを設置した他、福井寄り運転台を撤去して片運転台化が行われた。
 モハ140−1形+モハ140−2形の2両固定編成で、武生側の車両に制御器、福井側の車両に電動発電機とコンプレッサーが搭載されて
いる。車内は全車セミクロスシート仕様で、客用扉間が転換クロスシート、後部客用扉より連結面までがロングシートで構成されている。
 福井鉄道がLRT化した2006年4月1日で定期運用から外れ、同年10月14・15日に行われたさよなら運転を最後に廃車となった。
2007年6月に解体処分された。


福井駅前駅    2003/03/02

足羽川幸橋仮鉄橋   2003/03/02

武生新駅    2002/10/05

福井新駅    2006/07/30
      

120形 第2編成
 120形の第1編成は1992年に廃車となりHPを開設した1998年に存在しなかった。第2編成は2006年10月まで存在したが、
運用に入っているのを見たことがなかった。
 第2編成のモハ121−2+モハ122−2は元三河鉄道デ300形で1966年の廃車後、車体のみ福井鉄道に譲渡された。福井鉄道では
この車体に国鉄のTR11台車を組み合わせ、南越線用の150形として導入した。 
 1971年の南越線部分廃止後、福武線に転属し、福井市内区間電停用ステップの取り付けなどが行われた。1997年頃からは平日朝の臨
時急行以外にほとんど運行されず、予備車扱いで、福井へ出かけても運用に入っているのを見ることはなかった。
2006年4月1日の福井鉄道LRT化で廃車となった。


武生新駅(現:越前武生)    2000/07/02

武生新駅(現:越前武生)    2006/10/14

福井駅前  1974/06                  (富山レールクラブ大橋氏撮影)

福井駅前  1972/12                  (富山レールクラブ大橋氏撮影)
     

560形 562号
 562号は北陸鉄道が1956年に金沢市内線用に製造したモハ2200形で、市内線廃線後、名古屋鉄道へ譲渡され岐阜市内線のモ560
形となった。岐阜で廃車後に福井鉄道へ譲渡され560形となった。
 福井市制100周年記念事業の一環として、福武線の併用軌道線区間の専用車両として、同年1月1日〜1月12日まで運行された。以降は
主にイベント運行に使用された。
 2001年10月から11月にかけて、名鉄から貸りたモ800形と共に、福井駅前のトランジットモール実験で使用された時福井市コミュ
ニティーバス「すまいる」のシンボルマークを入れた「すまいるトラム」塗装になった。
 2004年11月には福井大学と大研化学工業が新型のリチウムイオン電池を使用した公開実験を実施し、その実験車両として使用されてい
る。 
 福井鉄道LRT化前のた2006年3月に廃車となり、金沢市のジェイアール貨物・北陸ロジスティクスが保存を申し入れ、保管されること
になった。車両は2006年8月11日に高岡市伏木の同社工場へ移送され、正式な保存先が確定するまで、同社が保管しながら原型への復元
作業を行うことになっていたが、保存先がないのか12年経った今も野ざらしになっている。


廃車後 福井新駅(現:赤十字前)    2006/07/30

武生新駅(現:越前武生)    2000/07/02

武生新駅(現:越前武生)  2002/10/05

高岡市伏木の海上保安庁付近   2018/08/25