富山ライトレール
 JR富山港線の路面電車化で運営主体となる第3セクター「富山ライトレール株式会社」2004(平成16)年4月17日設立、社長は森雅
志富山市長。2006(平成18)年4月29日に開業した。地域活性化や高齢化社会などに対応した新しいまちづくりに向け全国初となるJR
線の路面電車化事業。
 富山ライトレールが運行する路面電車は
富山駅北と岩瀬浜の7.6kmを結ぶ岩瀬浜と奥田中学校前間は第1種鉄道事業6.5kmで富山港線
の線路を使い、富山駅北と奥田中学校前間軌道事業1.1kmは道路上に軌道を新設して富山駅北口に乗り入れる。駅、電停はおよそ600m間
隔で新駅を設置。運行本数も15分間隔とする。車両は高岡市、射水市で運行されている万葉線の新型車両と同じ新潟トランシス製の超低床式
(LRV)を7編成導入した。

 軌間1067mm直流600Vで開業時は全線単線列車の行き違いは富山駅北奥田中学校前、粟島(大阪屋ショップ前)城川原大広田
で行う
低床車両は軌道区間最高時速40km、鉄道区間は60kmで走行する。運転係わる業務はすべて富山地方鉄道株式会社に業務委託して
いる。


新潟トランシス製の超低床車

ICカード乗車券読み取り機

ICカード乗車券パスカ
 運転本数は平日132本、休日124本で、朝のラッシュ時は10分間隔、昼間と夕方は15分間隔、早朝、夜間は30分間隔で運行する。
平日は下り2本が越中中島まで運転して城川原へ入庫する。
 富山ライトレールはIC(集積回路)チップを埋め込んだカードを乗車券として利用する「ICカードシステム」を導入する。路面電車での導
入は珍しく、東京の東急世田谷線など一部にとどまっている。ICカードは定期券とプリペイドカードの機能を併せ持つプラスチックカードの
中にICチップが内蔵されており、車両内に設置された専用読み取り機にかざすだけで自動的に料金を精算できる。専用機械で現金を振り込み
カードに情報を記憶させれば継続使用できる。
 ICカード乗車券はその後2010年3月に富山地方鉄道の富山市内電車にも導入され、2011年3月には同社の路線バスでも使用開始さ
れ、2012年3月には鉄道線でも利用が開始された。富山ライトレールのICカード乗車券「パスカ」でも地鉄の電車、バスに乗ることがで
きる。
 富山ライトレールの運行路線となるJR富山港線は1927(昭和2)年12月15日に富山駅と岩瀬港を8km結ぶ富岩鉄道として開業した。
開業当時の駅名は岩瀬浜、越中岩瀬、日満工場前、高等学校前、城川原、奥田中島、下奥井薬専校前、富山口、富山となっている。
 越中岩瀬は岩瀬町の中心部にあり現在、東岩瀬となっている。日満工場前は現在の大広田で日満アルミニウム(現:昭和タイタニウム)の工場
があり 岩瀬埠頭までの貨物線が分岐していた。高等学校前は、当時、蓮町に旧制富山高等学校があった。同校は戦後、富山大学となったが富山
大学の校舎とはならず馬場記念公園となっている。
 奥田中島は現在の越中中島で近くに奥田小学校がある。薬専校前は官立富山薬業専門学校の最寄り駅だったが学校が無くなり、1943(昭和
18)年6月1日に廃止された。
 1941(昭和16)年12月1日に富山電気鉄道(現:富山地方鉄道)の富岩線となった。工業地帯を結んでいることから戦時中の1943(昭
和18)年6月1日に国有化され、富山港線となった。1987(昭和62)年4月1日に国鉄分割民営化でJR西日本が引き継いだ。
 富山駅周辺で連続立体交差化が行われることになり、立体化の富山港線分予算33億円とJR西日本の事業者負担金12億円など総事業費は
58億円で2006年4月にLRT化された。