200611月で廃線となった神岡鉄道

 神岡鉄道は1984(昭和59)年10月1日に国鉄神岡線を引き継いで開業した。国鉄から転換の第3セクター鉄道では三陸鉄道に次いで2番目だった。起点は高山本線の猪谷で、営業距離は19.9km。神岡鉱山で亜鉛精錬の副産物として出る濃硫酸輸送を目的に第3セクター鉄道として存続した。
  経営主体は神岡鉱山所有者の三井金属工業。旅客輸送は廃線の日まで国鉄キハ20の下回りを利用した2両の気動車によって行なわれた。駅はJR共同駅の猪谷、飛騨中山、茂住、漆山、神岡鉱山前、飛騨神岡、神岡大橋、奥飛騨温泉口の8駅で、第3セクター化時に神岡大橋駅を新設し、西漆山を漆山に、神岡口を神岡鉱山前、飛騨船津を飛騨神岡に改名した。 車両基地は神岡鉱山前に置かれ、2両の気動車KM100形「おくひだ1号」、KM150形「おくひだ2号」、濃硫酸輸送に使用するディーゼル機関車の国鉄DD13形のKMDD131KMDD132が配置された。気動車2両とKMDD132は廃線まで在籍した。KMDD131はKMDE101に代わって廃車となったが、そのKMDE101も先に廃車となった。
 濃硫酸輸送は高山本線速星駅までJR貨物のDE10形機関車が使用されることになり、KMDE101は2000年には既に休車となっていた。その濃硫酸輸送もジャストイン納品を求める客先の要望で2005年3月31日で廃止となり、神岡鉄道の鉄道としての使命は終わった。廃線間近の2006年11月には、どの廃止路線にも見られる駆け込み乗車でおくひだ1号+おくひだ2号の2連で運行された。KM100とKM150は同じ車両だが定員が異なるので別形式となっている。KM101は110(座席58)人、KM151は105(座席53)人。この車両は国鉄キハ20形の台車
と床下機器を利用して新潟鐵工で車体とエンジンを新製したもの、車内は当時新潟鐵工で製造していたキハ40系同様の使用になっている。KM151は模擬囲炉裏、カラオケセット、トイレ付きでイベント兼用車両。KM101はトイレ無し車両。

 奥飛騨温泉口駅付近に温泉はないが、駅から国道471号線を約25km行った所に奥飛騨温泉郷がある。更にその奥には全国的に有名な観光地の上高地がある。奥飛騨温泉郷の1つの新穂高温泉には新穂高ロープウェイがあり、標高2156m西穂高駅まで7分間で一気に登ることができる世界2位のロープウェイで、周りには3000m級の山々が連なっている。

 
奥飛騨温泉口駅前に保存されていたKMDE101は2007年に解体された。廃線跡は2012年からレールマインテンバイクで走れるようになり駅舎は営業所となっている。2016年6月にKMED101が保存されていた場所には神岡鉱山のELと立山砂防のDLが屋根付きで展示保存された。
 2017年4月には神岡鉱山前駅の車庫跡で保管されていたKM101「おくひだ1号」が動態復活し、奥飛騨温泉口駅まで自走しレールマウンテンバイク営業期間中は駅に展示される。2018年には「おくひだ2号」も動態復活し、神岡鉱山前駅構内での運転体験も計画されている。


KM101 神岡鉱山前駅       撮影日:2006/10/22  9:44

KM151 猪谷駅       撮影日:2005/08/20  14:51

改修される前の奥飛騨温泉口駅        撮影日:2000/10/22  13:42
 

神岡鉱業社有濃硫酸輸送タンク車   撮影日:2000/10/22  13:46
 

改修後の奥飛騨温泉口駅  同じ時刻に撮影    撮影日:2006/10/22 13:42
 

新穂高ロープウェイ乗り継ぎ駅から槍穂高   撮影日:2012/05/23 10:17
 

神岡鉱山前駅へ到着するKM101猪谷行き    撮影日:2006/10/22  9:48
 

廃線前の混雑と神岡鉱山前駅でのタブレット交換   撮影日:2006/10/22
 

KMDD132 神岡鉱山前駅
撮影日:2006/10/22  9:18

休車のKMDE101 奥飛騨温泉口駅
撮影日:2000/10/22  13:40

展示保存されていたKMDE101  奥飛騨温泉口駅撮影日:2006/10/22  13:41

神岡鉱山前駅で発車を待つKM101猪谷行き
撮影日:2006/10/22   9:50

猪谷駅へ到着するKM151
撮影日:2006/10/22

飛驒神岡駅を発車したKM101奥飛騨温泉口行き
撮影日:2006/10/22   9:50

神岡鉱山前駅入口
撮影日:2006/10/22   9:53

国道41号線の真下に飛驒神岡駅
撮影日:2006/10/22   10:19

神岡鉄道移管後にできた神岡大橋駅
撮影日:2006/10/22   12:15

飛驒神岡駅・駅名表示板
撮影日:2006/10/22   10:30

神岡大橋駅 駅名表示板
撮影日:2006/10/22   11:43

奥飛驒温泉口駅 駅名表示板
撮影日:2006/10/22   13:48

飛驒神岡駅から神岡鉱業と北陸電力東町発電所
撮影日:2006/10/22   10:30

飛驒神岡駅から神岡町と高原川支流の山田川
撮影日:2006/10/22   10:30

飛驒神岡駅から神岡の街並み
撮影日:2006/10/22   10:30

飛驒神岡駅に到着するKM101猪谷行き
撮影日:2006/10/22   10:44

飛驒神岡駅に到着するKM101猪谷行き
撮影日:2006/10/22   10:44

飛驒神岡駅に到着するKM101奥飛驒温泉口行き
撮影日:2006/10/22   10:30

高原川に架かる神岡大橋
撮影日:2006/10/22  11:45

神岡大橋下の渓谷
撮影日:2006/10/22   11:45

県道477号線から奥飛驒温泉口駅方向
撮影日:2006/10/22   11:46

神岡大橋駅を発車したKM101奥飛驒温泉口行き
撮影日:2006/10/22   11:57

神岡大橋−奥飛驒温泉口間を走るKM101
撮影日:2006/10/22   11:57

神岡大橋−奥飛驒温泉口間を走るKM101
撮影日:2006/10/22   11:57

神岡大橋−奥飛驒温泉口間を走るKM101
撮影日:2006/10/22   12:10

奥飛驒温泉口駅へ到着するKM101
撮影日:2006/10/22   13:58

奥飛驒温泉口駅へ到着するKM101
撮影日:2006/10/22   13:58

奥飛驒温泉口駅へ到着したKM101
撮影日:2006/10/22   13:58

奥飛驒温泉口駅で発車を待つKM101
撮影日:2006/10/22   13:59

奥飛驒温泉口駅ホーム
撮影日:2006/10/22   13:33

奥飛驒温泉口駅の廃車バス利用の待合室
撮影日:2000/10/22   13:45

奥飛驒温泉口駅旧駅舎とホームの繋がり
撮影日:2000/10/22   13:49

神岡鉄道各駅ホームに七福神が祀られていた
撮影日:2006/10/22   11:43    神岡大橋駅

猪谷駅に到着したKM101
撮影日:2006/10/22   14:54

猪谷駅に停車中のKM151
撮影日:2006/10/22   14:48

神岡鉄道廃止を伝える猪谷地区の案内ボード
撮影日:2006/10/22   15:16
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