曹洞宗高岡山「瑞龍寺」は加賀二代藩主前田利長公の菩提をとむらうため三代藩主利常公によって建立されたお寺。平成9年12月3日、山門・仏殿・法堂が国宝に指定された。又総門・禅堂・大庫裏・回廊・大茶堂が国の重要文化財に指定されており、江戸初期の禅宗寺院建築として高く評価されている。
 伽藍及び建造物・伽藍は鎌倉時代広く我国にもたらされた中国の寺院建築を模して建立されたもので総門、山門、仏殿、法堂を一直線に配列し、左右に禅堂と大庫裏を置き、加えて四周を回廊で結ぶなど、厳粛且つ整然たる伽藍構成である。
 名匠山上善右衛門嘉宏は、利長公の代より前田家の信任厚く、禅宗様建築を良くし、近世工匠の中でも一流の域に達した名匠の一人であった。禅右衛門はこの瑞龍寺の他に、能登滝谷の妙成寺、加洲那谷寺の諸堂、越中大岩日石寺、能登一の宮気多大社、加賀小松の天満宮等、多くの建築を命ぜられた。
 加賀藩二代藩主・利長公(1562〜1614)は関野に新しい城を築き、街づくりを進めて「高岡」と命名、この地で他界された。利長公を敬愛された異母弟の三代藩主・利常公(1593〜1658)が三十三回忌までに建立された
壮大なお墓。高岡の開祖「前田利長公墓所」は高岡市芳野(隣には県営高岡武道館)にある。
 高岡市の国指定史跡の前田利長公墓所に「たたら吹き」と呼ばれる高岡銅器の伝統技法で造られた銘板が墓所入口に設置された。銘板は縦1m、横30cmの大きさで「国指定史跡加賀藩主前田家墓所」「前田家墓所」の文字が刻まれた二枚が製作された(2009年12月21日お披露目式)。
 6月中旬から7月上旬にかけては堀のスイレンが見ごろ。純白の可憐な花を見ると心が和む。

瑞龍寺山門(国宝) 瑞龍寺沿革
山門(国宝) 山門(国宝)内より
法堂(国宝) 山門(国宝) 大庫裏(重要文化財)
法堂(国宝) 仏殿(国宝)
総門(重要文化財) 瑞龍寺伽藍復元図
総門(重要文化財) 展示・瑞龍寺法堂の鬼瓦 石廟(県指定文化財)
前田利長公墓所入口 前田利長公墓所
前田家墓所銘板 前田利長公墓所銘板 県営高岡武道館
前田利長公墓所(6月中旬) 前田利長公墓所・堀には純白のスイレンが咲いて見頃
前田利長公墓所(秋) 前田利長公墓所 純白のスイレンの花


 高岡古城県定公園の略称。高岡市街地のほぼ中心にある。面積約21万u。1967(昭和42)年10月7日に指定される。1609年(慶長14)に加賀藩2代藩主前田利長が築いた高岡城の城跡を、明治以来公園として開放した。
 築城当時は東西に河川が走り、二上の山々に囲まれて築城や防備に適していた。石垣・土塁・濠などは昔のままの姿を保っている。水濠は総面積の約3割を占める。三の丸・二の丸・明丸・本丸などの各郭はそれぞれ水濠をめぐらして独立し、土橋によってつながっているが、土橋の様式は一様ではなく、大小さまざまなものを巧みに組み合わせてある。
 水郷公園として全国的に見ても珍しい存在である。水濠にはソウギヨ、ハクレン、カムルチー(雷魚)やスイレン、コウホネ、フサモなどの動植物が生息する。
 公園の中心本丸には、射水神社が鎮座している。一面緑の芝で覆われ行楽の中心となっている本丸広場がある。周囲は銅器の町高岡の伝統的技術の粋を集めて鋳造した、日本の代表的な彫刻家の作品が設置された芸術の森となっている。
 公園の最も北にある小竹藪は本丸に次ぐ広場で、三の丸に通じる一角に梅林がある。明丸には動物園、自然資料館がある。そのほか高岡市民会館、博物館、市民体育館などがある。
 小竹藪と一の橋・二の橋と結ばれている中の島では毎年秋に高岡万葉まつりがあり、「万葉集」全巻が3昼夜にわたり朗唱される。春は桜、夏は緑まぶしい樹木、秋は紅葉、冬は白銀の静寂さの中に咲く椿の美しさと、四季それぞれに鮮やかな色の変化を見せ、市民の憩いの場として広く愛されている。

中の島・緑翠亭(9月13日) 遊覧船利長号(9月13日)
前田利長像(初夏) 山右近像(初夏) 公園近く日本3大仏と称される高岡大仏
民部の井戸(秋) 射水神社(秋) 中の島・緑翠亭(秋)
一の橋(秋) 紅葉・一の橋周辺(秋) 紅葉の公園内(秋)
民部の井戸(初夏) 市民体育館(初夏) 朝陽橋(初夏)
朝陽の滝(初夏) 射水神社(初夏) 動物園のペンギン(初夏)
梅・コウトウジ(春) 本丸広場の桜(春) 駐春橋(春)
民部の井戸(冬) 中の島・緑翠亭(冬) 朝陽橋(冬)

補足・高岡古城公園の梅の見ごろ(3月上旬)と種類
トウジ(冬至)バラ科サクラ属、中国原産、野梅系、早咲き、白色一重。冬至の頃咲くのでこの名前がある。
コウトウジ(紅冬至)野梅系、早咲き、薄紅色一重。トウジ梅と同じ頃に咲き、薄紅色の花が咲くのでこの名前がある。


                                                                    

資料
地元発行パンプレット・HP及び案内表示板より
富山大百科事典 1994年(平成6年)初版発行  発行所 北日本新聞社