片貝川・魚津市を南東から北西に縦に横断、黒部市境の富山湾へ注ぐ2級河川。猫又山、毛勝山、駒ケ岳・僧ケ岳の剣岳北方稜線西面からの水を集
める。南又谷、東又谷、西又谷を合わせ、別又谷を加えて河口付近で布施川と合流。黒部市石田と魚津市経田の間で海に出る。

 流路延長20.4km、平均勾配8.5%で早月川と共に、日本屈指の急流で荒廃した河川で、流路は変わりやすく古くからの洪水のたびに扇状地上の
流路を替えてきた。そのまま海に面し、三角州がない臨海扇状地となっている。江戸時代には急流のため川を渡るときには、川渡し人に背負われて渡っ
たとされる。藩主の行列通行の時には臨時の舟橋を仮設するため、岸には橋材小屋が設置されていた。上流の南又谷には洞杉林と呼ばれる杉がある。

 標高600mから700mの奥地の岩盤の上に樹齢400から1000年の杉が100本以上そそり立つ。この洞杉(どうすぎ)は岩の上の土が日照
で温められたところに種子が落ち発芽したといわれ、朽ちた杉の巨木の幹に空洞ができていることから「洞杉」と呼ばれる。計測(2004年6月)
されたもので「最大洞杉」は株立て(幹4本)の幹周合計30.18m・高さ推測15mから30mである。

 龍石祠は片貝川水系の農業と電力事1893年業の守護神をお祀りし、御霊代(ごれいだい)の石(前方約15m)は「龍石」または「蛇石」と称
し雨乞の石として有名。伝説によれば昔三太という狩人がこの谷で道に迷い巨岩を抱いた龍を発見し、金と銀の弾を撃ちこめたところ、大雷鳴と共に、
石にからみついて死に絶えその恨みが大洪水をおこしたと言い伝えられている。上流の新土倉橋から小沢谷橋・高木橋・小坂橋へ下ったが「砂防指定
地片貝川」を辿ると砂防ダム・堰堤と発電所が数多くあった。

 富山県の河川(西部丘陵を除く)は水源を飛騨山脈(飛騨高地)に発する全国有数の急流荒廃河川のため下流の平野部では、典型的な沖積扇状地を
形成し、ここを流下する河道の河床が、宅地や田面より高い天井川になっているところが多い。このため立山砂防事業を行っている常願寺川を始め、
県内各河川上流部で破壊地の緑化復旧渓流山脚部固定のための谷止め工、下流土砂を下流部の河道に無害な粒径に選別し、適正な量を流下させるため
の砂防ダムが施工されている。

 黒谷橋のすぐ上流は「黒谷頭首工」、黒谷を扇長に形成された、片貝川扇状地の農地で利用される発農業用水を取水する施設で、上流での発電使用水
と黒谷頭首工での取水を併せ、途中で北陸電力の電用水にも利用されている。

 旧北陸道(現県道314号線)が片貝川を渡った地点は、現在の片貝橋より少し上流。片貝川は、歩渡りでその川幅は約380mあり、冬季は仮橋
が架けられた。現在の永久橋の架設前は、早月川と同様で川越え人夫による竹越え、背負い越えによって通行し、雨期の出水時には、下流の布施川と
の落合付近で舟渡しによっていたが、明治26年(1893)に片貝の大橋が竣工した。

 魚津市東山の東山円筒分水漕農業用水利施設で、円筒分水工・分水工の中央部から縁へ用水を流し、隔壁によって通水断面を分割し、一定比率に
分水するもの。

 魚津市と黒部市の境を流れる片貝川水系支流布瀬川は、北アルプス北端の僧ヶ岳に水源をもち、布施谷の沖積平野を形成しながら河口付近で片貝川
に合流して富山湾に注ぐ河川で全長21km。1968年(昭和43)から片貝川の合流点から延長5.5km区間の河川改修事業が行われたが、196
9年8月の大洪水で床上浸水、農地水害などの大被害を被った。同年、計画の抜本的改定を行い、洪水対策として布施川ダムが1992年(平成4)
に完成した。洪水調節と流水の正常な維持を目的とする治水ダムで、冬に洪水調節の空き容量を利用して消流雪用水の確保を行う機能ももっている。


 河口の右岸側に二級水系の黒瀬川の河口があり、黒瀬川の河口右岸は石田マリーナになっている。黒瀬川は黒部市南部の標高250m〜400mの丘陵
地帯に源を発し、北陸自動車道、国道8号、あいの風とやま鉄道線、富山地方鉄道本線を横断し黒部市石田において富山湾に注ぐ、流路延長は10.6
km。片貝川と黒部川の間には、黒瀬川の他に高橋川、吉田川の二級水系がある。


最大洞杉・2004年の計測で幹周合計30.18m

洞杉観察道案内図    拡大

魚津市道南又線沿いの「市道横洞杉」

魚津市道南又線沿いの「市道横洞杉」奥の洞杉

魚津市道南又線沿いの「市道横洞杉」

洞杉説明板    拡大

南又谷川の龍石(蛇石)

蛇石から上流(巨石が多い)

成谷1号砂防ダム

下流より成谷1号砂防ダム

黒谷頭首工

北陸電力片貝第三発電所

東山円筒分水漕 国の登録有形文化財(農業用水利施設)

東山円筒分水漕 国の登録有形文化財(農業用水利施設)

蔵の下橋から布施川ダム湖

蔵の下橋・布施川ダム湖

市道横洞杉

市道横洞杉幹廻り(←図左側) 

市道横洞杉幹廻り(←←図右側) 

新土倉橋

新土倉橋より上流の砂防堰堤 

新土倉橋より下流

龍石 

龍石祠(りゅうせきのほこら) 

蛇石橋 

小沢谷橋周辺の砂防堰堤 

南又谷川に架かる小沢谷橋 

小沢谷橋周辺の南又谷川 

砂防堰堤 

高木橋 

高木橋より上流の砂防堰堤

成谷1号砂防ダム上流の砂防ダム 

成谷1号砂防ダム 

成谷1号砂防ダム銘板 

北陸電力片貝第四発電所 

東又谷川と南又谷川合流地点 

北陸電力片貝第一発電所 

北陸電力片貝第二発電所 

周辺の片貝川 

小坂橋 

黒谷頭首工右岸から対岸を望む 

黒谷頭首工 

黒谷頭首工 

黒谷橋(すぐ上流は黒谷頭首工) 

黒谷橋より下流 

東山円筒分水漕(農業用水利施設) 

東山円筒分水漕(農業用水利施設) 

東山円筒分水漕説明板  拡大

右岸から東山円筒分水漕前の片貝川

東山橋より上流 

対岸のタワーパートナーズ工場 

片貝川に架かる東山橋 

東山橋下流 

片貝橋から対岸 

片貝橋 

片貝川に架かる落合橋 

落合橋より上流 

落合橋より下流 

富山地方鉄道片貝川・布施川橋梁 

魚津工業高校と立山連峰

河口付近の布施川との合流地点 

河口より対岸・富山湾

左岸河口より富山湾 

経田漁港 
支流の布施川      

布施川ダム堰堤 

布施川ダム堰堤を望む 

蔵の下橋

蔵の下橋より上流

蔵の下橋上流の砂防ダム

布施川ダムの放流路 

布施のみどり湖石碑 

小出力の北陸電力布施川発電所

布施川発電所送水管

発電所付近の布施川 

布施川発電所放流口 

県道314号線布施橋 旧北陸道 

布施橋からあいの風とやま鉄道線 

布施橋から下流

布施川の農道に架かる犬山橋 

犬山橋から上流 

犬山橋から下流の国道8号線橋梁 

河口から 青い屋根が合流地点

青い屋根の石田農林漁業実習体験館

石田マリーナ 

黒瀬川河口に架かる磯橋 

磯橋から上流 

県道314号線黒瀬橋 旧北陸道

左岸から布施川・片貝川合流地点

                                                                          
資料 
施設の説明表示板、及びHP等
富山大百科事典          1994年(平成6年) 初版発行発行所 北日本新聞社
富山県歴史の道調査報告書・北陸街道1980年(昭和55年)発行   富山県教育委員会(編集)富山県郷土史会(発 行)
富山大百科事典発行の1994年(平成6年)以降の変更事項は、国土交通省のHP(河川情報)より
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