2022/06/21 更新 旧北陸道小杉市街地(旧三ケ村)の街道について 小杉町は、江戸時代には三ケ村と戸破村で、加賀藩から町立てを許されて作られた宿場町だった。明治までは小杉新町と言っていた。今でも小杉町 の旧町内の地番は三ケ(さんが)と戸破(ひばり)となっている。 大島村と三ケ村の境界に一里塚があって今も残っている。場所は富山県立小杉高校グランドの西端の付近にある上を現在の北陸道である北陸自動車 道小杉インターチェンジと富山新港の埠頭を結ぶ4車線の道路国道472号線が通っている。旧北陸道は一里塚から50mで小杉高校グランドに消える。 小杉高校は大正8年に射水郡立農業公民学校として開校したがそれまでは水田の中に道は残っていたはず。北陸道は旧国道8号線の小杉高校正門か ら玄関への道の中間地点から再び現れる。ここからは手崎の加茂社前までまっすぐ東進。下条川が大幅に改修されたため、その付近は道筋がはっきり しない。大部分が県道232号204号線となり、街道沿いには、かつては造り酒屋を営んでした酒販店が多く見られる。 三ケ地区には、明治期の重厚な商家や、かつて酒蔵を営んでいた旧家などが残されている。中でも三ケ(諏訪町)には旧赤壁酒店は当時の宿場町の 店舗の面影をよく伝えており貴重な町屋である。建物や庭を会わせて31mを独占する威容と赤く塗られた壁、板ひさし、格子戸などが当時のまま残 っている。 諏訪町の真宗(西)本願寺派真福寺には庚申像の小堂があり、過去200年以上も講が続いている。小杉駅前へ通じる道路を渡るとすぐに小杉三ケ郵 便局がある。しばらく行くと右手に射水市市民交流プラザがあるが、ここがかつて小杉宿の本陣があった所である。 下条川が近づくと旧北陸道は左折するが下条川のかつての川筋の関係か直進する道は無かった。真宗(東)大谷派久證寺に突き当たって右折する。久 證寺は1617年に浄玄が開いた寺で街道に面した鐘楼門が目をひく。 久證寺前を右折するとすぐに小杉展示館がある。「射水市小杉展示館」は、1900(明治33)年に開業した「小杉貯金銀行」の社屋として、19 11年(明治44)に建てられた。黒漆喰で塗り上げられた土蔵造りの建物には明治後期の洋風建築が取り入れられ、その特徴は入口突き当たりの彫刻 ペディメントや特別展示室の前のコリント調の独立柱や天井の装飾のデザインなど贅沢な意匠が随所に見られる。 後の1943(昭和18)年に北陸銀行小杉支店となり1979年(昭和54)まで営業を行っていたが、同店が福祉会館(射水市市民交流プラザ) 付近へ移転新築後小杉町が譲り受けて、1986年(昭和61)に一部を改修し小杉町民展示館として開館した。1999年(平成11)に富山県内 で49番目の国指定登録有形文化財となった。 射水市小杉展示館の前を少し行くと十社大神という社名の神社がある。街道からの参道は当時は無く、戦後に造られた。境内の由緒書きには昭和の 初期に三ケ村内の14社が合祀して十社大神となったと記載されている。1400年に伊勢神宮の分霊を勧請して建てられた伊勢領の神明社を合祀し ている。伊勢領は三ケ村の南側にあった。 神明造りの拝殿は伊勢神宮の内宮正殿に使われていたものを譲り受けて造られたもので、木曽桧材の最高の物が使われている。伊勢領の神明社に伝 わっていた室町期の木造神馬一対、鎌倉末期の木造狛犬一対が社宝となっている他、十社大神には絵馬額が多く、板絵馬10枚、漆喰絵馬11枚があ る。その他江戸期の木造千手観音像、木造の阿弥陀如来立像、木造の聖観音立像があり、十社大神の本地仏として伝えられる。明治以前は何処も神仏 混淆だった。 下条川を渡ると戸破村へ入る。現在、下条川は改修工事が終わり真っすぐ流れているが、かつては蛇行しており、1980年頃まで蛇行箇所が残っ ていた。蛇行により度々水害が発生していた。蛇行していた下条川の川筋が三ケ地区と戸破地区の境界となっている。 |
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射水市三ケ村(水源町)の一里塚 |
旧北陸道一里塚(市指定文化財)説明表示板 |
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一里塚根かたの碑 |
一里塚前からグランド方向 |
小杉高校 |
小杉高校側の入口 射水市道 |
街道脇の石碑と石仏 |
ここから県道232号線 |
県道232号線側から小杉高校方向 |
旧赤壁屋酒店付近から小杉高校方向 |
旧赤壁屋酒店 |
赤壁屋酒店庭園 |
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浄土真宗本願寺派 太子山 真福寺 |
真福寺本堂 |
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赤壁屋酒店 |
真福寺鐘楼 |
真福寺前から戸破方向 |
真福寺前から小杉高校方向 |
県道232号線は県道44号線に繋がる |
駅前通りから県道232号線旧北陸道 |
料亭「中村楼」 |
駄菓子屋「沖田商店」 |
小杉三ケ郵便局 |
右側に本陣があった |
クランクを作るため左折 |
ランクなので直ぐに右折 |
曲角に鐘楼門の久證寺 T字路の県道232号線表示 |
久證寺本堂 |
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射水市小杉展示館(旧北陸銀行小杉支店) |
鏝絵の銘板と表示板の説明文 |
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登録有形文化財 文化庁のプレート |
金庫室も残る小杉展示館内 |
小杉展示館のシャンデリア |
小杉展示館正面 |
境内から拝殿を望む |
十社大神由緒書 |
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十社大神の表参道 |
十社大神の裏参道 駐車場側 |
十社大神の宝物殿 |
十社大神 神馬殿の木馬 |
次ページは小杉市街地(旧戸破村)へと進みます。
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資料
富山県歴史の道調査報告書(北陸街道)発行昭和55年(1980)12月10日 富山県教育委員会・富山県郷土史会
地元発行の観光パンフレット、施設の説明表示板、HP等。
富山大百科事典 平成6年(1994)初版発行 発行所 北日本新聞社
市町村合併について
富山県の市町村合併(2005年11月)で大門町・大島町・小杉町・下村・新湊市は現在射水市。